歯を大切に!

【事例紹介】

モカちゃんのケース

ぶちぞうさんちのモカちゃん(フレンチブルドック)は、ふっちゃん・穴子天丼共通のネットのお友達でして、今回ぶちぞうさんからメールをいただいて、正直とても驚きました。

以下は、ぶちぞうさんからのメールの一部の抜粋です。



ぶちぞうさんからのメール −その1−


実はモカも歯科専門医体験犬です。
結論から言いますと、レントゲン撮って診て頂いた結果、実際に処置は必要なかったのですが・・・。


C動物病院のアポを取ったのは今年(2006年)の4月でした。
その数ヶ月前からナイラボーンやオモチャを噛ませると、必ず血がついてきていたのが気になっていて、近所のかかりつけ医に相談したら、奥歯が欠けていることを指摘され、でも出血の原因はよく分からずじまいだったので、やはりここは専門医にお願いしよう!と、以前ネットで知り合った飼い主さんに教わったC動物病院の門を叩いたのでした。

C動物病院では、まず口中を視診、聴診器も当ててもらって、レントゲンを3枚撮りました。
やっぱり歯は欠けていて歯髄が露出しているのだけれど、その欠損部分は、ここ数週間という話ではなくて、多分もっと前にやっているはずだ。何故ならもう治り掛けてますよ、自ら修復し始めていますよ ということでした。

出血するのは当然で、歯と歯茎の間のセメント質の部分にばい菌・細菌などが入り込んでポケットを作るのだけど、噛んでいる刺激によってその膿がつぶれるためだそうです。
でも、モカの場合は出血するのは良いことで、その膿が外に出るから、それこそ血小板とか免疫細胞などが出動出来るし、事実治り掛けている、ということでした。

逆に、歯と歯の間の歯茎の乳頭部に膿が溜まったままになってしまうと、そのばい菌が歯から入って血液に乗り、それこそ腎炎とか肺疾患につながったり、その膿が臓器に移動して癌化することもあるそうで、そういうケースだと歯からの出血は大変危険な状態なのだけれども、お宅のコの場合は出血はいいんです、ということでした。


というわけで、モカの場合は特別な処置が必要な状態ではない。
もちろん、問題がまったくないという意味ではないけどフツーに健康な歯、との診断でした。
ただし、口臭がひどくなったりしたら気をつけてとのこと。
それと血液検査の際に、血中の細菌は出してもらっておくといいとのアドバイスを受けました。

それを聞いて、やっと安心出来ました。



歯欠け・歯髄露出は勿論ショックではありましたけど、歯周病から内臓疾患へ、よく原因が分からないうちに臓器が悪くなる、という危険性の有無をはっきりさせたかったし、もしも歯そのものの問題で抜歯や歯の修復などで麻酔が伴う手術・処置沙汰になったらどう覚悟を決めるか、というところで悶々としていて、本当にそれがもう気がかりだったので…。

それとモカはやはりブル系なので、犬の中でもかなり「噛む」ことに対する本能は強いと思うのです。
他の犬種を飼ったことがないので断言はできませんけど、放っといたら1時間でも2時間でもナイラボーンを齧っているタイプ。
ストレスを感じると噛み噛み。ヒマだと噛み噛み。噛まずに1日が明けることはありませんでした。

なので何か安全に噛み噛みさせられるものはありませんか?と聞いてみたところ、口腔衛生という点ではビルバックチュウがお勧めとのこと。
でもビルバックチュウは3分もかからないうちに丸呑みしちゃうんですが…と聞くと、それでいいんだそうです。丸呑みはそもそも想定の範囲内だそうで。
食後5分たつと口の中のばい菌は物凄い勢いで増殖するらしいので、食後5分以内にビルバックチュウを与えるのはとても良いそうです。
あと乾燥して売られているアキレス腱とかじゃなくて、本当のすね肉とか腱の部分を茹でてやったものとかはOKですって。



その件以来、晩ご飯の後はほぼ毎日歯磨きをするようにしています。

ビルバックチュウは超大型犬用XLサイズを細長く、4〜5本くらいにカットして、たまーのご褒美に手で持って噛ませてやってます。
確かにこれは頻繁に与えていると歯垢もキレイになりますが、経済的にも苦しくなります(爆)。
それに「はいよっ」とモカにあげちゃうと本当に5分ももたずに丸呑みしてしまうので(原料が牛だか豚だかの皮なんで消化はあんまり良くないので)、こっちが先端を持ってやって、じっくり「噛み」に付き合ってやれる時限定なんですけど…。

で、ビルバックチュウ以外の歯磨きは、近所のペットショップなどで手に入るものは大抵キシリトールやソルビトール入りで、私は犬にソルビトールが必要とは思わないので、結局歯ブラシをお湯で湿らせただけのものを使っています。
歯ブラシも犬用のものはいくつか試してみたのですが、誤飲される可能性のあるものは避けたいし、子供用歯ブラシなどで持ち手部分が短すぎるものも奥まで届きづらかったり、何かの拍子にごっくんと飲み込まれそうで恐かったりで、結局Ora2のコンパクトヘッドが経済的にも優しいし(笑…何せ時々噛み噛みされるので、すぐにダメになっちゃうんですよねえ…)、いたって普通で私には使いやすいです。

歯の裏側まではうまく磨けませんが、表側はまあ何とかさせてくれるようになりました。
もちろんご褒美のオヤツ無しにはここまで出来ませんけど、ご褒美のオヤツも歯に良いデンタクリーンとかデンタルケアスナックとか言われるものにしています。
ま、それは気休めかもですけど。

まあそんなこんなで勝手に書かせて頂きましたが、犬用のデンタルおもちゃやデンタルケア製品で、本当に良いと思えるものは少ないですね。



モカの場合、専門医を受診したキッカケとなった奥歯損傷・歯髄露出の原因は、実はよく分からないです。
オモチャ(ナイラボーンとか)のせいかもしれないし、生食で骨を食べさせていたからなのかもしれません。
ある時期からはあまり固すぎるものは与えないようにしてましたけど、そうやって気をつけ始めるより前にやっちゃってたのかもしれません。

ナイラボーンも生食の骨も実は悪者ではなく、今より気をつけていなかった頃(爆)に与えたもっともっと固いオモチャや骨のせいかもしれないです。
だから固い噛み噛みするオモチャがぜーんぶ悪いとは思わないのです。
でも、どの程度の固さなら大丈夫なのか、どの程度の頻度で噛ませるなら大丈夫なのか、そうしたことが全然分かっていないのに、何でもかんでも売られているのはちょっと怖いなあと思います。



と、ここまでが、ぶちぞうさんからいただいたメールの第一弾です。

実を言うと、ぶちぞうさんからのメールを拝見して、「露髄してしまっても、治療が必要ない場合もある」ということに、穴子天丼はとても驚きました。
その事などをお返事で書かせていただいたところ、以下の第二段のメールをいただきました。

どういうケースで治療が必要で、どういうケースで治療が不要かというのは、正直なところ、ぶちぞうさんにも穴子天丼にもわかりません。
ただ、モカちゃんの場合は、レントゲンを撮って歯科の治療に明るい医師の診断を受け、説明を聞くことで、安心・納得できたそうです。

それから、セカンドオピニオン・麻酔を必要とする手術のことなど、ぶちぞうさんのメールに書かれたことを一部そのまま掲載させていただきました。



   
ぶちぞうさんからのメール −その2−


歯髄露出に処置が必要かどうかは、ケース次第ではないかと思います。

痛みがあって物を食べるのをイヤがったり、出血がひどかったりしたらやっぱり処置した方が良いのかもしれませんね。
ただ犬の場合は歯科処置は麻酔無しにはまず出来ない(ふっちゃん宅のルナちゃんのようなケースは本当にごく稀、っつーか普通あり得ないですよね(笑))でしょうから、麻酔をかけてまでやるべき状態かどうかというのも判断のポイントになるのではないかと思います。

モカの場合は歯が修復し始めているとのことだったので、歯髄露出といっても本当に部分的というか、処置が必要ではないくらいに小さい範囲だったのかもしれません。
痛がらないし噛み噛み心も食欲も相変わらず旺盛でしたし、歯を触られるのを嫌がったりもしませんでしたので…。


これはあくまで私の個人的な意見で、どんな場合においても可能なこととは言い難いのですけれど、麻酔の必要な手術を宣告されても、本当に今すぐでないと命が危ない!という状態を除いては、出来ればその場ですぐに結論を出さずに一旦持ち帰って、冷静に考えてからセカンドオピニオンを求める、ということは必要なのではないかなと思います。
手術しなきゃ治らないよ、と言われて、気が動転したまま犬を預けてしまって後悔する、ということだけは避けたいと思っています。

これはモカの不妊手術の折に、呼吸が一旦止まったと執刀医から言われて、後から本当に背筋の凍る思いをした経験があるからで、それ以降は(そもそも呼吸器系が弱いブル系であることもあって、麻酔は本当に慎重にしたいとつくづく思ったからなのですが。

でも歯を欠いてしまうという事態を招いたことは、飼い主としての(ささやかではありますが)自信を失いかけるショックな出来事ではありました…。

なので、そういう思いをする飼い主さんや、歯の健康を害してしまうわんちゃんが少しでも減ることを、私も心から望みつつ、この情けない体験談をお役立て頂けるのであれば幸いでございまする。


戻る